周りの人は平然としているのに、満員電車などで自分だけが、汗がダラダラ流れて
いるとか、男性の中には夏場、非常に気にしている人もいるのではないでしょうか?
その不快な汗ダラダラは、実は体からの不調のサインかもしれません。
夏場のダラダラ汗、その適切な対処法をご紹介します。
目次
1.夏場のダラダラ汗の原因
汗の機能、人間にとって当たり前の身体機能ですが、ほとんどの哺乳類は汗を出す
機関、汗腺を持っていません。例えば、脚が速いことで知られるチーターは、最高
速100キロを超える走りを見せますが、短距離しか走れません。というか、長時間、
炎天下で一定の速度では走れないのです。
一方の人間は、熱中症にならない程度の、ある程度、気温が高い中でも、筋肉から
発せられる熱を、体から出る『汗』によって体を冷やすことが出来ます。だからマ
ラソンなど、人間だけは長距離を歩き続けたり、1時間ほどジョギングをしたりも出
来るのです。
夏場、特に男性では”ダラダラ汗”、つまり急に大量の汗をかく場合があります。汗
の役割は、水分で冷やすという作用ではなく、水が蒸発する時に定着した部分を蒸
発と同時に冷やしてしまう『気化熱』の作用を上手に利用しています。
逆言えば、ダラダラ汗を大量にかきやすい人は、”体温が高すぎる”傾向があると言
い換えることが出来るでしょう。この体温が上がりやすい体質というのがあります。
一例を紹介しましょう。
・肥満傾向
体内部が脂肪の分厚い壁によって、外部の気温から遮断され、体の熱が逃げにくく
なっているということです。皮膚で汗をかいて冷やしても、その下がった温度が内
部にまでなかなか到達しないことから、汗の量がどんどん増えていきます。
・慢性疾患・肝臓などの機能低下
肝臓や腎臓は、血液中の不要な成分や、食べ物から得られた中で、体にとっては必
要以上の栄養素などを除去しながら、尿として排泄する機能の一端を担っています。
糖尿病、高血圧など、循環器系の慢性疾患や、体調不良の場合も、肝臓や腎臓の
役割が低下し、血液の水分量を調整することが難しくなります。
一方、健康的な人の体は、塩分や糖分などの摂りすぎが多少あっても、肝臓が水で
薄めて血液の濃度を一定にしたりして、腎臓の能力に負担をかけない作用がありま
す。しかし『いくら暑くても汗をかかない』からといっても、それは肝機能、腎機
能が不調で正しく機能していないといった場合も考えられるのです。
・あまりに痩せすぎも大汗の原因?
一方、痩せていれば汗をかきにくいと、必ずしもいえません。水分は、”熱しにくく、
冷めにくい”という性質があるからです。あまりに痩せていて、脂肪や筋肉量が減
少すると、当然、全身の保持できる水の量が減ります。
そのため、外気温に敏感に反応するようになるので、真冬は重ね着をしても寒く、
夏場は裸になっても暑くてたまらない、そういった感覚になる場合があります。
何事も、適度に健康体である必要があるということでしょうか。
2.やりがちなゴシゴシこすって汗を拭わないほうが良い?
すでに説明したように、汗は量が問題なのではなく、体の蓄熱を気化熱を利用して
冷やそうとするためのもので、これは『脳』がその司令を行っています。
脳は心と体の両方をコントロール、もっと言えば支配している存在なので、興奮や
緊張、また、冷房など、急激な外気温が変わると、筋肉や臓器からの情報よりも、
まず脳の命令が最優先されます。したがって、暑くもないのに、ダラダラ大汗をか
く場合、頭の中では文字通り”冷静になれ!”とか、”外の様子が変だ!”といった、
過剰な反応をすることになるのです。
それまで長い時間、暑い外にいてから帰宅し、冷房をいきなりかけると汗がとまら
ないのは、こういった脳の勘違いによるものと考えられています。
したがって、ダラダラ汗が大量に流れているからと、きっちり拭いてサッパリしよ
うと思うのなら、少し落ち着いて、脳の興奮を”冷ます”というような、ちょっとし
た工夫をすると良いかもしれませんね。深呼吸を一度してみるのも良いそうですよ。
3.全身の汗と脇の汗は種類が違う
汗の種類には、汗腺の違いによって2種類あります。全身、顔などの汗腺は、無色透
明の汗をだす汗腺があり、汗が蒸発しやすい箇所に、汗腺が集中しています。
一方、脇の下は、白濁した油分と水分以外の成分が含まれた汗が、出るようになっ
ています。ちなみにこれは「人間が進化の過程で失った、発情期を示すフェロモン
分泌腺の名残り」とも言われています。
ですから、『脇の下が匂う』という場合は、汗の成分の中でも、水分以外の何かが
皮膚の雑菌と合わさって、変質して臭っているか、他の成分の汗に混ざる割合が、
他人より多すぎるということが言えるのです。
4.男の美容・汗をかきやすい体質を改善する
普段から多少の気温変化に対して、充分慣れておく必要があるでしょう。
汗は、体温に対して外気が高ければ出てくるというわけではなく、体の中の蓄熱次
第で、平熱に戻すために分泌されます。したがって、夏場であれば、少しだからと
我慢せずに、適切に冷房などを利用して体を平熱にしておくことが大切です。
扇風機でも構いませんが、汗は気化熱によって皮膚表面を冷やすため、風の力では
体の表面しか冷やせず、体の芯、内部を平熱に維持するためには、
やはり室温そのものを下げる方が効率が良いのです。
ところで、皆さんは暑い季節になると、冷たいものをよく飲む機会が増えるのでは
ないでしょうか?しかし、あまり冷たいものを飲みすぎる、食べすぎるのは、胃腸
にとっては良くありません。
冷たいものを口にすると、胃や腸は冷えるために、かえって懸命に体温を下げよう
にするため、冷たいものがたくさん胃腸に運び込まれると、胃や腸内環境を保護す
るため、下痢や胃腸の調子を落とすことがあります。冷たい食べ物、冷たい飲み物
で、物理的に人の体を冷やすのは、医学的には根拠のないことなので、ほどほどに
しておく方が良さそうですね。
それより灼熱の暑さでも、人の体はある程度、柔軟に対応する本来の力が備わって
ますから、冷やしすぎず、また暑さを我慢せずに快適な環境を心がけて、適度に冷
房、空調や換気などを利用するようにしましょう。
5.男の美容・体をあまり冷やさず”クール”に過ごす
大汗をかいて、シャツなどが汗びっしょりというのは、人によっては健康的と思わ
れていますよね。しかし気温が高い中であまり運動もしてないのに、汗がダラダラ
出てくるのは、むしろ『内蔵疾患の予備軍』、『血圧が普段から高い』など、
普通の健康な人より、もしかしたら問題を抱えているのかもしれません。
昔と比べて良いか悪いかを言っても仕方ないのですが、江戸時代の真夏の過ごし方
は、『熱いお茶を飲む』、『熱い甘酒を飲む』、『日陰で過ごしてあまり動かない』
という、非常に単純な涼のとり方だったそうです。
確かに、暑い季節は熱い食べ物はあまり気が進みませんが、胃腸は温かい食事の方
が相性は良いものです。健康な人の体温は36度前後と、最も暑い季節の気温よりも
若干高いわけですからね。
それと、暑いからとイライラせず、興奮しないで冷静に、静かに室内でゆっくり過
ごすとか、暑さによるストレスで、暴飲暴食はしない方がむしろ身のためです。
6.男の美容・ひんやり”ウェット”で皮膚をクールダウン
最近では、ひんやり気持ちが良い、汗拭き用のウェットシートが市販されてます。
清涼成分が含まれ、体を冷やす効果というよりは、気分転換に有効です。特に肥満
気味、日頃から食生活のカロリーが高めの人には、過剰な皮脂分泌による、肌の不
快なベタツキ感を抑えることが出来るので、なかなか便利なアイテムです。
また他に、室内に入って急激な冷気で汗がドバーっと出てくるような場合は、ハン
カチ、ハンドタオルを濡らして、首筋などにあてておくと、スーッと気持ち良くな
ります。首周りには非常に太い血管が走っているので、この方法は試して見る価値
ありですね。
7.男の美容・”香り”でごまかすな!
最後に、最近では男性も体臭を気にして、オーデコロンやオードトワレなどの香水
をつける人も増えているでしょう。好きな香りを身につけることは、ファッション
の一つでもありますが、香水は汗と皮脂などと混ざると、なかなか強烈な独特な匂
いを作り出す場合があるので要注意です。
本来であれば、シャワーの後とか、朝一番の清潔な肌につけて、気分転換や、気分
の高揚、心を落ち着けるなどの効果を期待して作られているのが香水です。
自分の体臭を誤魔化すというのなら、体臭の要因を突き止めて、原因に対して対処
したほ方が本末転倒にならないで済むでしょうね。
まとめ
余談ではありますが、大汗をかく人ほど、案外、冬場には寒がらず、
それでいて風邪をひきやすい場合もあります。恐らく、何らかの要因によって、
体温調節が上手く行かないからだと思いますが、心の乱れも汗となって現れ
てくるものです。暑い季節だからこそ、男性ならクールに涼しい顔ですごいたいものですね。