街を歩いているときや店の軒先で雨宿りしているとき、「雨の匂い」を感じたことはありませんか?
この匂いには実は様々な要因が絡んでいます。
ここでは、その正体と匂いが変わる理由を解説します。
目次
降り始めに感じる「ペトリコール」の魅力
雨が降り始めると、アスファルトや植物から独特の匂いが立ち上ります。
この匂いは「ペトリコール」と呼ばれ、ギリシャ語で「石のエッセンス」を意味します。
具体的には、雨粒が地面や植物の葉に衝突する際に、微小な粒子を含んだ気泡(エアロゾル)が放出されることから始まります。
これらのエアロゾルは、乾燥した土壌や岩石に蓄積された植物由来の油分を含み、大気中に放出されることで、私たちが感じるペトリコールの匂いとなります。
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雨上がりの「ゲオスミン」の正体
雨が止んだ後、特に強く感じられるのが「ゲオスミン」という匂いです。
ゲオスミンはギリシャ語で「大地の匂い」を意味し、土壌中のバクテリアによって生成される有機化合物が原因です。
この匂いはカビ臭に似ており、雨水が地面に染み込むことで拡散され、特に雨が上がる際に蒸発することで強まります。
雨の匂いを感じる仕組み
雨の匂いを感じるのは、エアロゾルが風によって運ばれてくるためです。
雨が降っていない場所でも、風に乗って運ばれてきたエアロゾルにより雨の匂いを感じることがあります。
また、雷の放電によって生成されるオゾンも雨の匂いに寄与する要素の一つです。
研究の裏付け
ペトリコールという言葉は、オーストラリアの鉱物学者イサベル・ジョイ・ベアーとR・G・トーマスが1964年に発表した論文に由来します。
さらに、2015年にはアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが、落下する雨粒をハイスピードカメラで観察し、ペトリコール発生のメカニズムを解明しました。
これにより、雨粒が地面に衝突する際にエアロゾルがどのように生成されるかが詳しくわかりました。
日本独特の表現
日本では、雨が降った後の草むらから立ち上がる蒸気を「草いきれ」と呼ぶことがあります。
この表現は、雨の後の湿った匂いや熱気を感じさせるもので、ペトリコールと似た情緒を持っています。
日本ならではの感覚が、雨の匂いに対する独特な捉え方を生んでいるのです。
雨の匂いにまつわる感情
アンケート調査によると、97%もの人が雨の匂いを感じ、36%の人がその匂いを好きだと答えています。
コメントの中には、「懐かしさを感じる」「自然の営みを感じる」など、ポジティブな感情が多く見られました。
一方で、17%の人は雨の匂いを嫌いと答えており、その理由としては「カビ臭さ」や「排ガス臭」が挙げられています。
雨の匂いを楽しむ
雨の匂いの正体を知ると、雨の日も少し違った視点で楽しむことができるかもしれません。
ペトリコールやゲオスミンという科学的な要素を知ることで、日常の中にある自然の営みを感じることができます。
雨の日は憂鬱になりがちですが、こうした知識を持つことで、雨の匂いを楽しむ心の余裕が生まれるでしょう。
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まとめ
雨の匂いには、降り始めの「ペトリコール」と雨上がりの「ゲオスミン」という二つの主な要素があり、それぞれ異なる匂いの正体を持っています。
これらの匂いは、土壌や植物、バクテリアなど自然のさまざまな要素が絡み合って生まれるものです。
雨の日も、この匂いを感じながら自然の不思議を楽しむことで、少しでも気分が晴れるのではないでしょうか。
次に雨が降った時には、ぜひその匂いに注意を向けてみてください。自然の営みを感じる素晴らしい体験ができるかもしれません。