”眠りの質”という考え方がが最近話題です。よく寝ているはずなのに、寝た気がしないとか、起きてもなんとなく疲れが残っている、ひょっとしたら、それは睡眠に必要な栄養がとれていないのかもしれません。眠りの質を高める食事、必要な栄養など、快眠法について詳しくお伝えします。
目次
1.睡眠のメカニズム
厚生労働省のホームページによれば、毎日ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に目が覚めるという日常の習慣は、眠りたいと思う睡眠欲求に加え、身体の”体内時計”をコントロールする副腎ホルモン分泌などの体内バランスが重要とされています。正常な場合は次のようになります。
1.決まった時間になると眠くなる
2.決まった時間にスッキリ目覚め、起きてからすぐ活動できる
3.覚醒後に眠気は起こらない
寝不足や睡眠障害の場合、曖昧でどこから睡眠で、どこからが起きている状態なのか、区別しづらい状態ということがいえます。人の体は決まった時刻に睡眠をとれば、ほぼ7時間から8時間で、体は自然と覚醒するように出来ています。
2.睡眠障害と寝不足との違い
睡眠障害と寝不足とは大きな違いがいくつかあります。代表的なものを取り上げてみます。
睡眠障害
・何時になっても眠くない
・日中、耐えられない眠気が襲う
・すぐ眠れるが、短時間で起きてしまう(目安は2時間程度)
・倦怠感や、やる気が起きない
寝不足
・寝る時間になっても作業している(寝るタイミングを逃す)
・目がさえて、なかなか眠れない
・起きてもしばらく眠気がとれない
この2つで最も大きな違いを一つあげれば、睡眠障害はどんなに寝ても眠りが浅いのに比べ、寝不足は起きる時間がずれ込んでいる、つまり本来眠るはずの時間帯が遅すぎるという点にあります。
寝不足は眠気を阻害する様々な要因(ゲームやインターネット、仕事など)で、体内時計を脳の活動で抑え込んでいる感じですね。
快眠法の最大の目標は、人の身体機能を正常に戻すことにあります。よく言われる『眠りの質改善』とは、『体内時計をコントロールする』、『脳の本来の機能を呼び覚ます』ということでもあるのです。
なかでも、食事については、快眠法に最も重要な位置を占めているといえます。
3.ズバリ解説!眠りを邪魔する食べ物とは?
快眠法自体は、決して難しいことではありません。私達は、昼間の活動をする時、心臓や肺などの臓器が活発に動いています。
血液は様々な栄養素の他に、体温調節を担い、脳も体温が上がると血流が多くなって活発に機能するため、起きている状態は脳は温度が上がります。眠くなる時は血流が下がって熱を逃しながら、自然と脳の活動が緩やかになって眠くなるのです。
この作用は、メラトニンなどのホルモン分泌が関わってますが、主に腎臓の副腎皮質ホルモンという物質が関係しています。
ちなみに体重当たりの消費カロリー(活動エネルギー)が大きい動物ほど睡眠時間が長い傾向があるといわれ、ネズミの睡眠時間は約12時間前後です。
活発な活動時間に対し、疲労を回復するため、体のエネルギーを作り出してためておく時間帯が、すなわち睡眠時間ということになります。
しかしながら加齢によって起こる生活の変化に対して、同じ活動でも若い人に比べて消費カロリーも減るというのが一般的ですよね。
さらに臓器も歳をとるので、消化吸収に時間が余計にかかり、結果として睡眠中にエネルギーを作る、ためておく力も弱くなります。
・消化に時間がかかり、栄養価の低い食べ物
・大量に食べることが出来る煮物や汁物など(ラーメン・おでん・カレーライス等)
・体を冷やす低カロリー食品
昼間(活動時間中)の場合、消化機能よりも筋肉や脳の活動のために必要な『糖』、体を温める『脂肪』については有効と言えますが、疲労回復という点では睡眠に対してあまり有効ではないといえます。しかし消化に良くても、たくさん食べられるものは睡眠前には避けるべきです。
4.睡眠に有効な食べ物・飲み物
結論から言うと、睡眠に必要なホルモン分泌を促す食品というのは、具体的にはありません。しかしながら、”疲労回復”において焦点をあてた食べ物に関しては、消化吸収が早く、その割には高カロリーで、胃腸に負担のかからないものなら有効といえます。
必須の栄養素は以下で、特に重要なのをあげておきましょう。
・炭水化物
たくさん食べる必要はありません。あくまで消化エネルギーに必要な分だけで良いので、麺類なら素うどんや、そうめん、お茶漬けなどの軽いものがおすすめです。これから得られるのは、消化で吸収できるエネルギー源『糖』です。といっても砂糖とは違います。これは内蔵のためのエネルギー補給ですね。
・豚肉・鶏肉
必須アミノ酸と不飽和脂肪酸と呼ばれる、体内では合成できない疲労回復に最も必要な栄養素が含まれています。魚にも含まれていますが、比べて調理も簡単でオススメです。また牛肉と違って肥満に直接つながる飽和脂肪酸が少なく、特に疲労回復に有効です。後述するビタミンB群も豊富に含まれています。
・快眠法に有効なサプリメント
前述したように、睡眠の効果は第一に”疲労回復”ですから、有効なサプリメント成分は、代表的なものに以下があります。
・グリシン
食べ物では、豚肉や鶏肉などに含まれる動物性タンパク質(コラーゲン)に多く含まれるアミノ酸です。筋肉疲労などの回復に効果があります。巷の”睡眠サプリメント”の多くに配合されている成分です。
・ビタミンB1
本来、腸内細菌が合成しているビタミンですが、加齢により減った腸内細菌で不足し、消化不良となる場合があります。別名『チアニン』とも呼ばれ、消化を助けて目覚めの倦怠感やだるさの改善にもつながります。ビタミンB群は、総じて疲労回復効果があるので、この成分が含まれるサプリメントは、快眠法には有効ですね。
市販の様々なサプリメントの成分を調べてみると、この2つが必ずといって良いほど含まれています。日々の食事の補助として有効に活用したいですね。
まとめ
現代人の場合、どうしても仕事上、夜遅くまで働く場合も多いので、一概に決まった時間に睡眠時間をとれるとは限りません。そこで、今回提案する快眠法は『疲労回復』に焦点を置き、睡眠の質を高める食事、快眠に必要な栄養素・成分について解説しました。意外にシンプルな工夫で達成出来そうですよね。もちろん、偏食のない正しい食生活、適切な運動などは大切です。