北九州の名物として知られる老舗うどんチェーン「資さんうどん」。
その1号店が北九州市戸畑区に誕生したのは1976年のことでした。
創業者の大西章資氏が立ち上げたこの店は、地域に根ざしながら福岡市や関門海峡を挟んだ山口県にも展開。
地域の人々に愛され続けてきました。
その後、創業者の後を継いだ経営陣は店舗拡大を目指し、現在では九州全県、山口県、岡山県、大阪府、兵庫県に計69店舗を展開するまでに成長。
そして2024年7月13日、ついに東京進出を発表しました。
目次
うどんの味に込めた創業者のこだわり
福岡県といえばとんこつラーメンが有名ですが、実はうどんの人気も非常に高いのです。
激戦区で生き残るため、大西氏は2年をかけて独自の出汁を開発しました。
この黄金色の出汁は関西風ながらも独特の甘みがあり、資さんうどんの味の基盤となっています。
柔らかい福岡うどんとコシのある讃岐うどんの中間の食感を持つ麺も特徴で、多くの人々に支持されています。
メニューはうどんだけに留まらず、カツとじ丼やカレー、おでんなど100種類以上を揃え、幅広い層に対応。
また、ビールとおつまみで軽く飲むスタイルも人気です。
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新たな経営陣と挑戦
2012年、創業者の大西氏が病床に伏し社長を退任。
2015年に他界すると、地元の福岡銀行などが支援する福岡キャピタルパートナーズが一時的に経営を引き継ぎましたが、2018年にはユニゾンキャピタルに事業が譲渡されました。
この際、新たに迎えられたのが代表取締役社長の佐藤崇史氏とCOOの大井裕之氏です。
佐藤氏はソニーやユニクロで豊富な経験を積み、広島県出身ながら北九州に縁がないにも関わらず、新しい視点で資さんうどんの全国展開を目指しました。
一方、大井氏は九州に一度も訪れたことがなかったものの、数店舗を訪れてその味へのこだわりに感銘を受けました。
職人の技と味の伝承
大井氏が特に驚いたのは、出汁へのこだわりです。
創業者の大西氏が磨き上げた味は、現在も脈々と受け継がれています。うどんだけでなく、ぼた餅などのサイドメニューにもそのこだわりは反映され、ぼた餅は年間540万個以上売れる看板商品です。
あんこは本社工場で炊かれ、もち米は各店舗でふっくらと炊き上げられます。
あんこの品質を保つため、季節や水の違い、気温・湿度の影響を考慮し、職人が微調整を行います。
大井氏はマニュアル化を試みましたが、最終的には職人の経験と技術が不可欠であると認識しました。
現在も、職人たちはその日その日のコンディションを見ながら、手作業で品質を保っています。
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店舗拡大と地域の壁
新経営陣が加わった時点で、資さんうどんの店舗数は39店舗でしたが、佐藤氏と大井氏は「こだわりの味」をより多くの人に知ってもらうため、店舗拡大を決意。九州全県、山口県、岡山県、大阪府、兵庫県に店舗を広げ、2024年7月13日には東京進出を発表しました。
しかし、全国展開には多くの困難が伴いました。
地域に根付いたローカルチェーンから全国展開への転換には、従業員たちの理解と協力が必要でした。
新しい経営陣の戦略に対して反発する声もありましたが、彼らの熱意とビジョンが次第に従業員たちに伝わり、協力体制が整いました。
新たな挑戦と未来への展望
資さんうどんの成長は、地域への愛着と全国展開のバランスを保ちながら進んできました。
地域に根付いた味とサービスを大切にしつつ、より多くの人々にその魅力を伝えるための努力が続けられています。
従業員一人ひとりが、創業者の精神を受け継ぎ、日々の業務に励んでいます。
資さんうどんの全国展開には、創業者のこだわりと新たな経営陣のビジョンが融合し、新たなステージへと進んでいます。
地域に根付いた味を守りつつ、全国の人々にその魅力を伝えるための挑戦は、これからも続いていくことでしょう。
まとめ
資さんうどんの成功は、創業者のこだわりと新たな経営陣のビジョンが融合した結果です。
地域に根付いた味を大切にしつつ、全国展開に挑む姿勢は、多くの人々に感動を与えています。
これからも、資さんうどんはその味とサービスを守りながら、新たな挑戦を続けていくことでしょう。